【書評】マインドコントロール | 岡田尊司を読んで感じた洗脳の日常性

この記事には広告を含む場合があります。 記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。

こんにちは、悠才(@yusai0713)です。

僕は心理学、とりわけ洗脳やマインドコントロールというものに興味を持っておりまして本書を手にしました。

なぜ買ったのか?といわれますと、「アマゾンのレビューが高かったからです」としか言いようがありませんw

そんな話はさて置いて、今回はこの本を通じて感じた「マインドコントロールとはどういうものなのか」をまとめていきたいと思います。

マインドコントロールの歴史と変遷

マインドコントロールの歴史は古く、古代ローマ時代にはもうその技術が使われていたようです。

本書で紹介されているのが、独裁者カエサルの話。

カエサルには愛人の息子ブルータスがおりました。

純粋で一途なブルータスの人柄を買い、カエサルはブルータスを可愛がっていました。

しかし、ブルータスは「共和制を守ることが正義である」と第三者にそそのかされ、カエサルの暗殺に加担してしまいます。

かの有名な「ブルータスお前もか」の話です。

この暗殺が起こった背景には、重要な2つのポイントがあります。

  • ブルータスは母親の愛人であるカエサルに対して、ひそかな敵意を抱いていたこと
  • ブルータスの純粋で一途な性格

暗殺をそそのかしたカシウスは、この2つのポイントを利用し、ブルータスをカエサルの暗殺に利用しました。

ブルータスの純粋で一途な性格が、「共和制を守る」という大義名分によりカエサルへの暗殺に向けられたということです。

この時代のマインドコントロールは、ひそかに抱く野心や敵意、恐怖心などを煽る手法が中心だったようです。

 

そのあと、マキャベリによる『恐怖による支配』『振りによる権威性』で君主は大衆を上手くコントロールしていきます。

『振りによる権威性』とは、信義や誠実さは実際持っていなくてもよく、それらを持っている振りをすることで、相手にそう思わせるというものです。

そして18世紀には催眠術が登場し、催眠治療という分野が確立されていきます。

それは特に心因性の疾患がある患者に対して、外傷的な記憶を消去したり、別の記憶に書き換えたりすることで治療を行うというものでした。

しかし、催眠療法は理性を素通りし、無意識下で行われるものなので、問題の自覚を避けるといった利点はあるものの、どうしても治療者に依存する危険が付きまといます。

そのため催眠術ではなく、自己暗示や精神分析に治療はシフトしていきました。

自己暗示療法とは、問題と向き合いポジティブで前向きな言葉を与え続けることで、症状の改善を図るというものです。

この技術は、今でも様々なセラピーに取り入れられています。

精神分析とは、対話の中で患者が抱える問題を意識化し言語化することで、患者自身が問題と向き合い治療していくというものです。

ここでフロイトとユングの話が出てくるのですが、心理療法・精神分析を生業とする人でも自分の精神をコントロールするのは難しいことがよくわかります。

そのあとは、CIAやソ連を中心に催眠術やマインドコントロールの研究がなされ、高度化したマインドコントロール技術が国際舞台で暗躍していきます。

そして現代のテロリズムやカルト宗教へと続いていくと。

悠才

前半長くなって、後半だるくなりました。なんかすみません。

とにかく、人の心をコントロールする技術の重要性は、人類史が物語っているということです。

マインドコントロールに至る4つの要因

①依存性パーソナリティ

優柔不断で依存心の強い人。愛着不安がある人。

②高い被暗示性

暗示のかかりやすい人。主体的ではなく、受動的な人。

③現在、および過去のストレス

現在→過度なストレスを抱えている人。心が弱っている人。

過去→昔の環境により、他人の顔色を過剰に気にする人・不安を強く感じる人。

④支持環境の脆弱さ

周囲からの支えがなく、孤立している人。他人との精神的な絆が乏しい人。


筆者によると、この4つの要因を持っている人はマインドコントロールされやすいようです。

特に現代社会は、人と人が密に接する機会が希薄化しています。

マインドコントロールの餌食になる人が後を絶たないのは、その人自身の問題だけではなく、そうならざる終えなかった環境(とりわけ社会)に問題があるとも言えるでしょう。

この本で学べること

記事を書いている途中で、この記事ネタバレが過ぎるでしょ?やばっ

ってなったので、本書を読むとわかることを軽ーくリストアップしました。

  • マインドコントロールがどういうものなのか
  • マインドコントロールされやすい人の特徴とその要因
  • マインドコントロールを解く方法
  • マインドコントロールの歴史
  • 現代社会に蔓延るマインドコントロール

本書は、精神科医である著者自身の経験や、様々な文献を通して得られた歴史的事実をもとにマインドコントロールというものを考察しているので、とても勉強になったし読んでいて面白かったです。

専門的な知識がなくてもすーっと読めるので、心理学に興味ある方にはうってつけの本だと思います!

まとめ

長くなったので、短めに話します。

少し前にありました芸人・オセロ中嶋さんの騒動しかり、オウム真理教しかり、昨今の自爆テロの横行しかり、現代社会はマインドコントロールで溢れています。

もちろんこれはニュースの話で終わることではなく、私たちの身の回りにもたーくさんあります。

広告、営業、TV、新聞、ネット、とくに大規模メディアはプロパガンダにも代表されるように、多くの人達の意見に影響を与えます。

それが善用されているのならいいのですが、悪用されたら社会はどんどん悪い方向に流れていってしまう危険性があるのです。

そうならないためにもマインドコントロールというものの概要を知り、その手口を知る。

受動的ではなく、能動的に情報をキャッチする。

周りに流されず、主体的に人生を選択する。

情報過多で人間関係が希薄化した現代社会だからこそ、こういったことが重要であると著者をはじめ私も思うのです。

自分を守る、家族を守るという意味でも、本書をご一読することをおすすめします!

PS. 次はセルフ・マインドコントロール的な本を読みたい。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です